ジャンルイジ・トッカフォンド『ピノッキオの冒険』
「世界が僕をいじめる。残酷で美しい魂の物語」
この人は、数年前のユナイテッドアローズのアニメーションをやってた人なんですね。あれは、いいなあ好きだなあと思いながらテレビで見てたんですが(ファッション通信の合間にやってたよね)。これはリトルモアから出ていて、上の言葉なんていかにもリトルモアっぽい、前にチラッと見てたんだけど、このまえどうしても欲しくて、おととい買った。絵がトッカフォンドで、詩と訳が一倉宏。
右ページには絵が、左ページの、右下に物語が、左上にピノキオ視点の詩 のようなもの が平行に進んで、もしこれが、どっちかだけなら、いいね まで。でも、同時に進むから素晴らしくて、絵はもう当然素晴らしくて(繰り返すと陳腐な言葉だ)。
もう何年も前から、残酷さだとか、痛さだとか、さらけ出して「美しさ」という言葉で包んでしまうような傾向が、結構あるように思えて仕方が無く、それはもうひどく嫌で、
で、今からけっこう呆れるようなこと言いますが、
そういう類の「美しさ」だとかにうんざりした時に、かつんと来るのが「つよさ」だったりするんです。
弱さをさらけ出す強さ とか、そういううんぬんも、だいっ嫌いで、弱さを自覚した人はやっぱり弱いし、いくら叫んでも弱いし、さらけ出すのは強さでもなんでもなくて、それはやっぱりさらけ出してるだけで、必要以上の痛み とかは、共感を呼んでも先には進みません。
「つよさ」は、あまりに無防備で、あまりに単純で、滑稽で、絶対的に不安定な、それでも絶対な、そういったものかもしれなくて、
「僕の嘘が、僕を蝕む」
と読んだ30秒後に、
「信じろ」
と読まざるを得ない、
この本がすごい。
残念ながらよく知らないんですが、たぶんこの、一倉宏って人の言葉がすごく好きだ。たぶん。