20年代ってさ。


何度か出てきた『優雅な生活が最高の復讐である』、これ、画家ジェラルド・マーフィとその妻セーラを中心とした、20年代の文化人たちの群像を描いたノンフィクションとでも言うのでしょうか。ジャズエイジのころにパリに飛んだアメリカ人作家やその他の芸術家たちの交友関係がつづられていて、フィッツジェラルドとかヘミングウェイとかドス・パソスピカソ、とか。
写真も結構載ってて、見てるとこの時代、のパリ、のこの辺の人たち、やっぱりかなり奇抜だったり前衛的だったり素っ頓狂だったりな格好で。行動も。
この辺の時代に少しでも興味があるなら、絶対おもしろい本です。タイトルは、スペインの諺なんだって。

それにしても作品よりも人生が語られる作家の代表のようなフィッツジェラルド、やっぱりこの人と妻ゼルダのエピソードってかなり強烈。私フィッツジェラルドは授業で扱うまで実は読んだことなかったんでけど、その米文学史の授業でも一際興味を持ったのを覚えてます(どうでもいいけどこの時に書いた「台風の翌朝はいつも晴れだが、祭りの翌朝がそうとは限らない」みたいな書き出しのレポートが好きで、でも今取り出して読んで見たらけっこう酷かった)。

目的がないゆえの自己破壊衝動。




「・・・いつもパーティーから夜遅く帰ってきてはゼルダの先導で十メートルの岩の上から海に飛び込む二人の危険な悪い癖をセーラが注意した時、ゼルダは大きな食い入るような目を向けて無邪気そうにこう言っている。『でもね、セーラ』 ― 『セイーラ』と彼女は発音した ― 『知らなかった?あたしたち、大事に守りたいものなんて、ないのよ』。」